大判例

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大阪地方裁判所 昭和41年(ワ)4790号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕<証拠>によると、原告が昭和三八年八月一三日訴外千代田信用組合(訴外組合)を吸収合併した事実が認められ、<証拠>によると、右訴外組合は、昭和三五年二月六日被告会社との間に、被告会社の依頼により被告会社の振出、引受け、裏書、保証の約束手形および為替手形による貸付ならびに同手形の割引をすること、遅延損害金は日歩金七銭とすること、被告会社、保証人および手形の債務者が、第三者より、仮処分、仮差押、強制執行を受け、また競売、破産、和議申請または刑事上訴追を受けたとき、手形交換所の不渡処分または警告を受けたとき、本契約に違反したときには期限の利益を失い、右訴外組合の通知により即時手形元利金を支払うことの手形貸付、割引契約を締結し、同日、右取引により被告会社の訴外組合に負担する債務についてその支払いを担保するため、被告会社が同債務の全部または一部の返済を履行せず、または履行しないおそれがあるとき、および本契約上の義務を履行しないときは、被告会社は、すべての債務について期限の利益を失い、訴外組合において何らの通知なく直ちに担保物件の全部または一部を法定の手続を経ないで処分し、債務の支払いに充当しても、異議がないこと、この場合、被告会社が訴外組合に対し有する預金その他の債権は、被告会社の債務と相殺されても異議がないこと、被告会社が割引を依頼した手形が不渡となつたとき、または手形支払人が支払を拒絶する情況にあると訴外組合が認めたときは、同手形支払人の振出、引受、保証のすべての手形は被告会社において訴外組合の請求次第買戻すこと、被告会社が買戻に応じない場合には、期日前の手形は満期到来として取扱われること、の取引約定を結び、被告片岡、同中村は、同日右被告会社の訴外組合に対する債務について連帯保証をしたことが認められ、右認定に反する被告片岡、同中村の供述部分は措信できず、他に右認定に反する証拠はない。

次に、右訴外組合が、被告会社の依頼により別紙記載の約束手形七通の割引きをなしたところ、同手形が、いずれも支払期日内に支払いがなく不渡りとなつたことは当事者間に争いがない。

そうすると、訴外組合は、前記取引約定にもとづき、右各手形の支払い拒絶と同時に被告会社に対して右割引手形七通の買戻しを請求する権利(以下買戻請求権という)を取得したものというべきであり、原告は、前記訴外組合との吸収合併により右手形買戻請求権を承継取得したことが認められる。

そこで、被告らの時効消滅の抗弁について検討する。先づ、右手形買戻請求権の時効期間について考えるに、原告が、中小企業等協同組合法にもとづく信用協同組合として組合員の相互扶助を目的とするものであり、商法上の商人とみなすべきでないとしても、本件契約当事者の一方たる被告会社は、各種金属針布の製造販売業および紡績業ならびに右に附帯する一切の業務の営業を目的とする株式会社であつて(成立に争いない甲第五号証)、商法上の商人であることが認められるから、同被告が原告から前記手形割引ないし貸付を受ける行為は、右被告会社の営業のためにするものとして商行為となり、商法は、右被告会社のための一方的商行為について、当然に原告(訴外組合)、被告会社さらに連帯保証人たるその余の被告らに対しても適用されること、右手形買戻請求権は、訴外組合自身の商行為により生じたものでないとしても、前記手形割引により被告会社に生じた手形買戻債務に対応する債権であつて、迅速結了を尊重すべき商取引の要請から商法五二二条に「商行為ニ因リテ生レタル債権」と同視して同条の適用を受け、その消滅時効期間は五年と解すべく、かつ、買戻請求権者の手形買戻請求権行使の意思表示を要せずに、ある一定の事実の発生により当然に手形買戻代金請求権(純然たる金銭請求権、以下買戻金債権という)を生ずる場合があり、同債権の消滅時効期間も五年と解される点との均衡上、および前記のように商取引における迅速結了尊重の趣旨に照らし、手形買戻請求権を行使した結果生ずる手形買戻代金請求権(買戻金債権)の行使期間を含め、即ち、かかる買戻請求権者の手形買戻請求の意思表示を要する場合には、買戻請求権、買戻金債権の行使期間を通じ五年をもつて消滅時効期間とするのが相当である。(萩尾孝至)

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